はじめに:第2世代VM(Generation 2)の壁
ITインフラの検証において、VMware Workstation Pro上にWindows Serverを立て、さらにその中でHyper-Vを動かす「ネスト環境」は非常に便利です。
しかし、いざ構築を始めると、これまでのWindows Server では遭遇しなかった**「第2世代VM(Generation 2)」特有の挙動**等に阻まれ、インストーラーすら起動しない「真っ暗な画面」や、ISOが読み込めないエラーに直面しました。
本記事では、筆者が実際に直面した3つの致命的エラーとその解決策を詳解します。
Synthetic SCSI Controller 電源をオンにできませんでした
- マウントエラー:
Synthetic SCSI Controller ... 電源をオンにできませんでした。エラー 'ファイル システム制限のため、要求された操作を完了できませんでした' 次のエラーが原因でアタッチメント '共有フォルダパス' を開けませんでした
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原因: 第2世代が採用する Synthetic SCSI Controller は、ストレージに対して厳格な低レベルアクセスを要求します。VMwareの共有フォルダ越しではこの要求に応えられませんでした。VMwareの共有フォルダ(HGFS)は、ネットワークリダイレクターに近い仕組みで動作しており、NTFSやReFSのような「完全なローカルファイルシステム」としての機能(高度なファイルロックやメタデータ操作)をすべて備えているわけではありません。この「SCSIが求める厳格な要求」と「共有フォルダの擬似的な仕組み」のミスマッチが、マウントエラーの正体です。
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解決策: ISOファイルは必ず ホストのローカルドライブ(C:やE:)にコピー してからマウントしてください。 ※第1世代(IDEエミュレーション)ではこの制約が緩いため、共有フォルダ越しでも動きましたが、第2世代では通用しませんでした。
ディスク容量不足エラー(全世代共通)
- ディスク容量不足:
ディスクに十分な空き領域がありません。(0x80070070)
これは第1世代・第2世代を問わず発生する、インフラ構築の「基本」に関わるエラーです。インストール先選択で「1022MB(1GB)」等の極小サイズにより拒否される。
現象1: 起動時に0x80070070エラー(メモリコンテンツファイル.vmrsの作成失敗)。
現象2: インストール先選択で「1022MB(1GB)」等の極小サイズにより拒否される。

- 原因: ホスト側の物理ドライブ空き容量が、VMの割り当てメモリ分(4GB等)すら残っていない。仮想ディスク(VHDX)の宣言サイズがOSの最小要件(32GB〜)を満たしていない。
- 解決策: *ホスト側の不要なファイルを削除し、十分な空きを作る。仮想ハードディスク容量を容量可変で作る場合は、可能なら60GB以上 で作成・拡張する(可変ディスクなら物理容量を即座に消費しませんので、容量不足でも60GBで作って問題なし)。
拡張セッション仮想マシン接続が利用可能になっています
- 起動不能: 拡張セッションの待機画面(黒い画面)から一向に進まない。

- 原因:第2世代で標準有効となっている**「セキュアブート」は、起動しようとしているプログラム(ブートローダー)のデジタル署名を検証する仕組みです。 入れ子構造の環境では、この信頼チェーンがうまく連動せず、署名検証に失敗することがあります。検証に失敗した瞬間、UEFIはセキュリティ保護のためにOSの実行を即座に拒否**します。
しかし、Hyper-V側は「OSが起動して便利な機能(拡張セッション)が使えるようになるはずだ」と通信を待ち続けます。その裏ではセキュアブートによってOS本体が起動を阻止されているため、永遠に**「接続待ち画面」のままフリーズしたように見える**のです。
- 解決策: Hyper-Vの設定から「セキュア ブートを有効にする」のチェックを外すことで、この門番をバイパスし、確実にインストーラーを起動させます。

まとめ:ネスト環境構築のチェックリスト
最新のWindows Serverをネスト環境で動かすなら、以下の3箇条を鉄則とすべきです。
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第2世代なら「ISOファイル」は必ずローカルに「コピペ」する(共有フォルダは×)
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第2世代なら「セキュアブート」を一度疑う
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ディスク容量は「ケチらず」要件を上回るサイズで宣言する
これらの設定を正しく行えば、最新OSのパワフルな検証環境を最短で手に入れることができます。インフラエンジニアの皆さんの検証が、エラーに阻まれることなく進むことを願っています。